「雪菜&花作大根」を楽しむ会に参加してきたんだっし! 2016.3.4
2月24日に長井市「小野料理教室」で開催された味の箱舟プロジェクト「雪菜&花作(はなづくり)大根」を楽しむ会に参加してきたんだっし!
皆さん「味の箱舟」って知ってだが?
恥ずかしながら私は今回参加して初めて知りました。
味の箱舟プロジェクトはスローフード協会が行っている「おいしい食材で絶滅の恐れがある在来種を守る」国際的なプロジェクトなんだと。
国内では平成17年に「味の箱舟」作物として9つが国際本部から認定され、その中に山形県からはおきたまの「雪菜」、「花作大根」の2つが認定されたんだ。
今回は、おきたまにあるこの2つの「味の箱舟」作物の美味しさを引き立てた料理を小野料理教室の方に作っていただき、皆さんで楽しむ会に参加させていただいたんだっし!
では、料理のお披露目の前に「雪菜」と「花作大根」の紹介をすっぺ。
こちらが「雪菜」。↓
2月に掲載した大宮駅「山形産直市」やおきたまるしぇin恵比寿でもご紹介させていただいた雪菜ですが、今回は更に詳しく紹介させてもらうね。
雪の下で育てる野菜「雪菜」という在来野菜を米沢市において栽培されているんだっし。
雪菜のルーツをたどれば、雪国での生鮮野菜の確保ために推奨したといわれる、上杉鷹山公の時代までさかのぼるんだ。
雪が降る前に収穫した雪菜を藁や土で囲い、降り積もった雪の中で自らの葉を栄養として伸ばしたとう(花茎)の部分を食べることで、野菜が不足する冬の間を乗り越えてきたという米澤藩の自慢の野菜なんだっし。
雪と共に生活する先人の知恵と、雪の中で伸びる強靭な生命力が為した技だなっし。
でも「雪菜ってもともと何の野菜なの?」ってずっと疑問に思ってて、この前特派員KYに聞いてみたんだっし。
特派員KYは「元を辿ればおきたま伝統野菜の遠山かぶだけど、色々と交雑させて作られたから、正確な所はわからん」と気持ちいい答えをもらったんだけど、半ば信じていなかったんだ(笑)
だってカブだよ!カブ! どう見てもカブには見えないよね?
でもマジみたいッス(笑)
雪菜は従来「かぶのとう」と言われており、そもそもは米沢市上長井地区特産の「遠山かぶ」のとう(花茎)を食してたんだと。
現在の雪菜は、越後から伝えられた長岡菜との自然交雑から選抜育種したものと言われ、雪との係わりが深い栽培法から「雪菜」と名付けられたんだって。
特派員KYさすがだっし! 信じてなくてごめんなさい。
では、文章だけじゃ飽きるので栽培風景の写真入れていくね。
8月下旬~9月上旬に播種し、
9月中旬には、まだまだかわいい感じでしょ。
1ヵ月後の10月中旬にはこんな感じ。
すごい生命力だなっし(驚)
9月~10月の結構涼しくなる時期にこんなに大きくなんだね。
11月中旬には一度目の収穫を行い、藁を立てて、次いで土を盛って囲うんだ。
こうして床寄せを行い、雪に覆われるときを待つんだっし。
2度目の収穫の1月からは、腰の高さより積もった雪の中から雪菜を採るんだっし。
葉の栄養を使ってとうを伸ばしていくため、力を尽くした古葉は収穫の際に取り除くんだ。
食材となる量は床寄せ時の20~25%位になる贅沢な食材なんだっし。
栽培の厳しい雪菜が現在まで引き継がれてるのは、誇りを持って生産する農家さんのおかげなんだな。
続きまして、こちらが「花作大根」↓
まんまるくて、かわいいなっし(嬉)
花作大根の学名は「ネヅミノオ」と言われ、俗に「ねずみ大根」と呼ばれてるんだっし。
花作大根は、古くは上杉藩時代から長井市花作町地区で栽培されていた漬物用の大根として伝えられ、独特な歯ざわりと長期保存が可能なことから重宝されてきたんだと。
そして、上杉の殿様の領内巡回の折り、長井市花作町に休まれた際、大根の漬物を献上したところ、それが大変お気に召され「これを、花作大根と名付けよ」と命名されたんだっし。
肉質は硬く、甘みもあるが苦味もあり生食には適していなかったが、長漬用としては軟化しにくく、パリパリとした歯ざわりがあり最適なんだ。
更に生育は遅く早晩生~晩生で「ス」入りは遅くて少ないので、冷蔵庫の無い時代には冬の漬物と夏の漬物の端境期である5~6月に食べられるということで人気の高い品種だったんだ。
花作大根の種子は他地区で栽培しても数年で変わってしまうため、花作町で生産された大根の種子は重宝され、普通の大根種子の3倍の価格で取引されてたんだって(驚)
その当時はおきたま一円で栽培されていたと言われる有名な大根だったんだっし!
やがて、時代が変わり冷蔵庫などの電化製品の普及や保存技術の向上と食生活の変化により、長期保存の必要性が無くなり昭和50年には栽培する人もいなくなったんだ。
花作町では「種」だけは何とか残しておきたいという願いから、町内でわずかに作り続けてきており、平成14年に遠藤氏が「以前食べた花作大根の味が忘れられない、何とかもう一度復活させられないだろうか」との提案で、「ねいてぶ花作大根」を立ち上げて、平成15年から山形スローフード協会に加盟して「花作大根復活作戦」の活動を開始したんだと。
平成17年には、イタリアのスローフード協会から、後世に残すべき食材を選定する「味の箱舟(アルカ)」の日本で最初の9品目の一つに認定されたんだっし。
長井市花作町に住んでる人々の思いが繋いだ奇跡だなっし!
では、栽培風景を載せてくね。
こちらは8月下旬に播種した花作大根の10月下旬の写真。
立派な葉がついてんだな。
はい、写真終了ーーー。
実はまだ花作大根の取材にお邪魔したことがないんだっし(ごめんね)
今年こそお邪魔したいと思っているので、その際に詳しく載せさせていただきまーす!
実は、この花作大根も雪菜と同じく「雪の下で育つ野菜」なんだと。
きっかけは秋に小さくて収穫できなかったものを、そのまま春まで畑に置いてたところ立派な大根に育っていたんだっし(驚)
通常の長い大根は地上に出てる部分から痛んでいくけど、花作大根は土にスッポリ入っているから、雪が降り積もっても大丈夫なんだ。
秋と次の年の春と2回旬を迎える「花作大根」素晴らしいッス!
それではお待ちかね、「雪菜&花作大根」を楽しむ会の始まりだっし!
場所は長井市の「小野料理教室」
長井市の特産品「行者菜」の料理教室等、活発に活動されているんだっし。
今年で4回目になる「雪菜&花作大根」を楽しむ会も小野料理教室の方々のご協力があってこそなんだっし。
外もすんごい立派な日本庭園になってんだ。
雪囲いがまた味を出してて素敵だなっし。
この時だけはもっと雪があれば良かったなって思うっし(笑)
料理教室の隣には畑があんだけど、
ここの畑の農産物は小野料理教室の方が育ててんだと。
採れた野菜を調理して提供してくれるのも魅力のひとつだっし(嬉)
ちょっと緊張しつつも、目の前の料理に意識を奪われながら
「雪菜&花作大根」を楽しむ会の始まったんだっし!
開会のあいさつは「ねいてぃぶ花作大根」の遠藤氏ッス。
とても明るく気さくな方で皆さんを笑顔にしてくれるんだっし。
続いて「米沢市上長井生産組合」の佐藤氏のご挨拶だっし。
昨年は雪菜の取材でお世話になった他、色々とご恩のある大先輩なんだっし!
こっからはドンドン料理を紹介すっから覚悟しておごえな。
お腹が空いても責任はとりませんよ(笑)
最初は「雪菜と海老の冷拌」
雪菜と海老の甘さが引き立って、とても美味しかったッス。
冷拌と聞くとスーパーでもよく見るサラダ「冷拌三絲(りゃんばんさんすー)」が思い浮かぶけど、意味はたぶん文字のままだと思うなっし。
伝統料理「雪菜の冷汁」(写真左)と「紅白 膾(なます)」(写真右)
雪菜の冷汁には食用菊や打ち豆が入ってて正におきたまの味に仕上がってるんだっし!
紅白膾は花作大根と人参のシャキシャキ感を楽しみながら、酢でしめたことでより深く甘みを堪能できる逸品でした。
アクセントでのってる花型のりんごもかわいくて良かったッス。
里芋「甚五右エ門(じんごえもん)」の蒸かし芋
甚五右エ門は山形県最上地域真室川の大谷地でしか栽培されない…いや、栽培できない幻の里芋なんだ。
室町時代から大谷地で一子相伝で受け継がれた甚五右エ門は、独特な粘土質で寒暖の激しい大谷地でしか良く育たないんだと。
噛まなくても口の中でとろけていくほど柔らかく、非常に粘り気があるのが特徴的だっし。
実はこの甚五右エ門も「味の箱舟」に選ばれ、山形県内だけで3つの作物が世界に認められたんだっし。
今回用意いただいた甚五右エ門は山形スローフード協会の方が1年も前に予約して手に入れたんだと。
サプライズの料理にみんな大喜びだっし。
山形スローフード協会は、今度は甚五右エ門を栽培している佐藤氏に参加してもらい、「雪菜&花作大根&甚五右エ門」を楽しむ会にしたいと意気込みを述べてたんだ。
来年もとても期待しております!
花作大根と雪菜、行者菜の「棒餃子」
かなり旨い! ホント驚きの旨さ。
一口で餃子の味が口いっぱいに拡がりながらも、後味はサッパリしてるんだ。
その秘密は…
肉が一切入ってない(驚)
雪菜と花作大根を千切りにして、行者菜と一緒に包んであんだ。
肉なしでこのジューシーさには驚かされたッス。
ビールがほしくなってきたなっし。
花作大根の「とろ~りチーズの大根ステーキ」
貴重な花作大根を豪快に使った料理にまず驚かされたんだけど…
更に驚いたのは箸をいれたときだな。
火がしっかり通ってるのでスス~っと箸が通るのに、全然崩れないんだ。
食感も肉厚で食べごたえがあんだ。
花作大根は「堅さ」を活かした素晴らしい料理だっし。
「花作大根スティックと雪菜のディップ」
シンプル イズ ベスト!
雪菜と花作大根の生の美味しさを深く味わえるなっし。
味噌マヨがあったけど、個人的な意見としてはつけずに食べる方が美味しかったッス。
「雪菜の桜和え」
かなりきれいだなっし。
鱈の子と雪菜が絡んで、絶妙なハーモニーーに仕上がってんだ。
一足早い春を堪能した気持ちです。
「スローフードの坦坦麺」
坦坦麺はもとを辿れば四川の料理で、天秤棒を担いで売り歩いた料理であり、「汁なし」が原型なんだと。
今回は汁ありで雪菜と花作大根が入ってるんだ。
味については皆さんの想像におまかせします。(辛いのダメなんだっし)
「雪菜と花作大根のお漬物」
雪菜を数回湯に通し、塩漬けすることでわざと辛味を出す伝統の漬物「雪菜のふすべ漬け」
紅花を入れた酢に花作大根を漬けて色づけした「はないろだいこん」
一度食べたら忘れられない独特の歯ごたえの粕漬け「ほろよいだいこん」
ゆずの香りとパリパリの食感がたまらない「ゆずの香だいこん」
このお漬物4種を一緒に食べられるのは贅沢の極みだなっし。
記念に皆さんで写真撮影したんだっし。
写真撮りそこねて、ワンモアのお願いに応えていただき、おしょうしなっし。
「花作大根と馬のかみしめの御飯」
角切りの花作大根と馬のかみしめが入ってて、おかず無しでもガツガツいけます!
先ほどの漬物とあわせると、もぉ~~最高ーーー。
因みに馬のかみしめはおきたまの伝統野菜に認定された野菜なんだっし。↓
大豆にすると豆に表面に馬が噛んだような跡がつくことから名付けられたんだ。
だだちゃ豆と並ぶ山形の在来品種で一時は途絶えた品種なんだけど、一部の農家さんが種を保持していて、近隣の農家さんが復活させるため栽培量を増やしたことで現在も食べれることができるんだ。
ホント農家さんには感謝の言葉しかないなっし。
「行者菜のお味噌汁」
お汁は薄めの味付けで噛めば噛むほど行者菜の味が拡がる、初めての感覚のお味噌汁だっし。
大きななめこも入ってスルスル~っと飲みやすいなっし。
じっくり飲むつもりが、一気に飲み干してしまったッス(笑)
「馬のかみしめのきな粉餅」
個人の意見としてはNo.1の美味しさでした。
棒餃子にも驚かされましたが、また違う美味しさが。
まず、きな粉。
とてもきめ細かく皿を持ち上げただけで少し舞っちゃう程なんだ。
口に入れてもきな粉特有のダマの感じが一切なく、粉雪を食べてるみたいにスーっと溶けていくんだっし。
更に餅も素晴らしい出来でした。
基本甘党の私なんですが和菓子の甘いのは苦手でして、まず最初の一噛みがそんな私でももっと甘いほうがと思うぐらいだったんだっし。
そこから二つ三つと噛んでいると自然な甘みが出てきて、最終的には甘すぎず、されどしっかりした甘みが口いっぱいに広がり、充足感に浸れる抜群のスイーツだったんだっし。
皆さん多彩な料理に舌鼓打ちながら、意見を出し合ってたんだっし。
最後はスローフード山形の岡田先生から締めの挨拶をしていただいたんだっし。
今回の味の箱舟「雪菜&花作大根」を楽しむ会は開催は「米沢市上長井雪菜生産組合」「ねえてぶ花作大根」「小野料理教室」を始め、色んな方々に協力をいただいて開催できた。
これからも色んなことにチャレンジしていきたい、と熱意のガンガン伝わるあいさつをいただいたんだっし。
時代にあわせて作物は品種改良され新しい品種へと切り替わっていくのですが、栽培が難しい事や収量が上がらなくて姿を消した優良な品種は少なくないんだ。
そんな中、人の都合で優良な品種を絶やしてはいけないと積極的に活動する方々のおかげで、私たちは様々な食材を楽しむ事ができるということに気づかされたんだっし。
味の箱舟プロジェクト、今後もますますのご活躍を心からお祈りしております!
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