おきたま新聞は山形置賜の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

日本酒の仕込みの時期になったので地元の「酒蔵」めぐりをしたんだっす!【no.2】

置賜の3市5町には全てに「酒蔵」があって、全部で18件もあるんだっす。酒好きのおきたま新聞としてはなんとしても全ての「酒蔵」を取材すんなねべ!【no.2】

「米鶴酒造」の杜氏の須貝常務さんに酒蔵の中を案内してもらって、まだまだ知らない事をたくさん教えてもらったので前回に引続き紹介すっからなっす!!

おきたま新聞(ジミー)
あれれ!? このバケツはなんだっし?

須貝
それは

「仕込み水」

です。酒屋の水は鉄分が含まれていてはダメなんですよ。水道水よりも鉄分が少ない水です。ですから、タンクもホウロウとかステンレスですし、バケツも

アルマイト

です。 水道水でもお酒は造れるんですが、酒蔵で使う水は「仕込み水」だけではないですからねえ。洗浄から何からかなりの水を使いますから

井戸水は重要

ですねえ。

おきたま新聞(ジミー)
昔々、編集長は、学校でこんなバケツ持って廊下に立たされたんだべ!!

おきたま新聞(編集長)
ばかたれ!! せっかく酒造りのロマンに浸ってるところに、まったく!! ジミーは雰囲気ぶち壊しだな!! (笑い)
あれれ! ところで、この純米あんだんて」ってなにや?

 須貝

「純米吟醸あんだんて」

というお酒になります。アルコール度数が低くて甘酸っぱいお酒で飲みやすいですよ!! 酵母も酸っぱさをだす酵母と苦味をだす酵母をブレンドして使ってます。

おきたま新聞(編集長)
あんだんてぇ?(志村けん風)

須貝、ジミー
完全無視!!・・・。

須貝
これが「もろみ」です。 いわゆる

「どぶろく」

ですね。↓

 須貝
タンクから見える「もろみ」の上あたりまで「二酸化炭素」なので、この中に落ちたら死にます! 溺れて死ぬんではなくて酸欠で死んでしまいます。空(カラ)になったタンクに入る時もタンクの下に二酸化炭素が残っているので、上からホースで空気を送りながら作業をします。

おきたま新聞
あいやー!?  「酒造り」も命がけなんだなっす。
酒に溺れるって言ってもちょっと意味が違うなっす。

須貝
これが「火入れ」という工程です。「殺菌」をする「熱交換機」です。

 須貝
日本酒は理論的には約60度で殺菌できます。

「低温殺菌」

なんですよ。ここでは一旦40度で加熱して、もう一度向こうの機械で65度で熱処理します。また、「生酒」は「火入れ」をせずにフィルターを通して殺菌します。「火入れ」をしないので「生酒」は「酵素」が生きてるんですよ。そのために、ずっと置いておくと甘くなります。

それでは、「ムロ」のほうへご案内しましょう。この中に「種麹」入れて振ると「胞子」が「蒸し米」にふりかかるんです。↓

特別に「ムロ」の中へ入らせてもらったんだっす。

あれっ!ジミーのメガネが曇ってら!

須貝
この中は温度は31度 湿度は50%台ですね。ここで2日間おきます。こちらが出来上がりです。↓

須貝
見た目はさらっとした状態です。結構温かいんですよ。42度位あります。「この状態で食べてみると「栗」の味がすることがポイントなんですよ。今日の午後に「ムロ」から出して、明日「タンク」へ入れます。状態を見て、午前中に「ムロ」から出したりもしますけどね。

おきたま新聞
その辺は、熟練の技というか経験なんだごでなっす。

須貝
そうですねえ!! 「酒造り」は、奥が深いですからねえ。 

毎年、一年生みたいなもんですよ!!  

原料のお米も毎年、微妙に違いますし・・・。それでも再現性よく仕上げるのが

「蔵人」に求められていることなんでしょうねえ!!

おきたま新聞
うーん!! さすがに重みのあるコメントだなっすー。

須貝
酒造りの順番としては、「麹」が入って、「仕込み水」が入って、最後に「蒸し米」が入って一つの「仕込み」が終わるんです。まったく

「アナログ」

なんですが、途中の経過記録は全て手作業で記録します。それとシーズンの仕込み作業は、この「洗米予定表」で動くんです。元日も休みはありません。今シーズンは、来年の3月25日まで予定されています。

余談ですが、「甑倒し(こしきたおし)・・・酒蔵で仕込が終わったことの祝い」の時はビックイベントなので正月の新年会よりも盛り上がってしまいますねえ。

おきたま新聞
やっぱり大変な仕事なんだあー。ところで、こごさ、書がってだ「酒造年度」?これはなんだべ?

須貝
「酒造年度」は、7月から6月までです。なので、平成27年6月までが平成26年酒造年度になります。

おきたま新聞(編集長・ジミー)
いやー! 始めて「酒造年度」わがった。勉強になるなあー。

 

これは「ろ過器」↓

 須貝
お酒をきれいにするために「活性炭素」の炭を入れたりするんですが、その炭を取り除くために、「ろ過」します。山形県のお酒は最近、「活性炭素」をあまり入れなくなってきています。酒が生まれたまんまの旨い状態で出しているんです。きれいな造り方をして、尚且つ、炭を一杯入れて更にきれいなお酒にするのが「新潟県のお酒」ですね。「端麗辛口」と言われているものです。

 

これが

「酒粕」

です。「板粕」と言われているものですね。↓

 須貝
京都の問屋さんへ出荷されます。「酒粕」は栄養満点なんですが、最近はなかなか消費が限られていますねえ・・・。

「稲作文化」はすばらしいんですよ

まったく捨てるところがないんです。

刈り取った「藁」は使う、「籾殻」は使う、精米して出る「糠」は使う、酒造りで出た「酒粕」も使う!! 最高の優等生ですよね! 昔の人は偉かったですねえ。

これが「もろみ」を搾る機械です。形が「舟」の形に似ていることから「ふね」と呼ばれています。

 須貝
そして、搾られて出てきたお酒が、

「舟口」

と呼ばれるものです。「蔵開き」の時もここで試飲してもらいます。すごい行列になりますよ。この道具がなかった時代は木綿の袋に「もろみ」を入れて搾っていたんですね。それは、今でも「大吟醸」を造る時にやってますよ。いわゆる

「しずくとり」

と言われる技法です。

 

 

【「酒母室」へ移動】
須貝
これが今日仕込んだものです。「米」と「麹」が水を吸って膨らんだ状態です。この白いのが「麹」、透き通っているのが「蒸し米」です。これにはすでに「酵母」も入ってますし、最大のポイントは「乳酸」が入って「乳酸酸性」になっていることです。「清酒酵母」はこの酸味でも生きられるのですが、他の雑菌は生きられません。

「山廃」

とか

「木元」

と言うのは、「乳酸菌」を入れないで自然界の乳酸菌を飛び込ませて「乳酸酸性」にした状態で「酵母」を添加するんです。なので、時間が倍の1ヶ月もかかりますし、その酒蔵の特徴が出やすいんです。

今日、仕込んだ「酒母」↓

これが2週間前に仕込んで、出来上がった「酒母」↓

須貝常務が持っているのはタンク内の「酒母」の量を測る「ものさし」! ↓

須貝
日本酒の最大の特徴は、日本は海に囲まれている島国なので、

「魚の食文化」と一緒に「日本酒の文化」が出来上がってきたと言うことですね。世界にいろんな酒がありますが、

魚の生臭さを感じさせない酒は「日本酒」だけなんです。

煮魚にしても水を入れないで「日本酒」を入れれば、身はやわらくなるし、生臭さは無くなる。「日本酒」は「アミノ酸」が豊富なので、その「アミノ酸」が生臭さを取ってくれるんですね。

 

おきたま新聞
うーん!!  なかなか聞けない話しだなっすー。
須貝常務、今日は本当にお忙しい中を「酒蔵」の中を案内してもらって、また、貴重な話を教ぇでもらって

おしょうしなっす。

今度はゆっくり米鶴の「日本酒」飲みながら「酒談義」させておごえなっす。

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まほろばの酒蔵 「米鶴酒造株式会社」

〒992-0301 山形県東置賜郡高畠町二井宿1076

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